服作り新時代 Vol.8
PO・EOでナンバーワンへ
「頂点」のモノ作りに挑む
センチュリー 常務 森本尚孝氏
センチュリーグループは販売会社としてセンチュリーエール、ゼェム、センチュリーの三社があり、量販店さんをはじめ、百貨店、専門店さんが取引先です。センチュリーエールが東日本から大阪、岡山までをカバー、ゼェムが九州を中心として広島から四国、沖縄などの西日本、それにセンチュリーが職域販売を対象としています。
今の時代は人と違うものを求めたり、体にフィットする服をカスタマイズする傾向が高まっています。ここに来て市場では既製品のスーツの価格が上がり、我々のパターンオーダー(PO)、イージーオーダー(EO)との価格差があまりなくなってきたことも消費者の方が買いやすくなっている要因です。
一方、千葉の本社センターを中心とした生産会社のセンチュリーテクノコアは今、総員で約500名。弘前工場が250名、古河工場が130名、大分工場が22名の体制です。このほか中国と国内の協力工場があります。テクノコアはOEM(相手先ブランド生産)的な受託加工もあり、自社製品と合わせて年間生産量は24万着。千葉のセンターは受注・外注コントロールと、パターン開発、システム開発、それからプレス検査、発送が業務です。縫製をやっているのは弘前と古河の工場で、大分工場は業態転換しセンター機能を強化している。中国の協力工場はPOが2工場、既製品が3工場あり、中国で生産した商品は千葉と大分で最終仕上げとデリバリーをしています。
センチュリーグループはPO・EOの専業メーカーとしてナンバーワンを目指しています。そのために自社工場は一週間納品のクイックレスポンスや、ハンドメードを生かした付加価値商品をより強化していく必要がある。一週間のクイックレスポンスはすでに弘前工場では多い時で300着のうち200数十着こなしている。当社は注文紳士服において採寸から型紙作成、裁断までをコンピューター化した先駆者で、こうしたITの活用をより高めるとともに、国内外の協力工場とのネットワーク化を含めて柔軟な生産体制にどう取り組むかということが今後のクイックレスポンスの課題です。
センチュリーグループは販売と生産をつなぎ、一着ずつカスタマイズしていくノウハウは世界で一流と自負しています。物流も自前で一着ずつ日本中の1000店舗に配送する能力を持っている。しかも自分の工場で作ったスーツを300人以上の販売員が店頭で直接売る。だから情報はリアルタイムに入って来ます。メーカーであることが強みです。モノ作りができないメーカーとモノ作りができるメーカーの差というのは明らかにこれから出てくると思います。
このメーカーであること、日本の工場を残していくためには、「頂点」の仕事をやらないといけないと考えています。まだ力及ばないんですが、我々は大リーグの四番を目指したい。世界に通用するという言葉は大げさかもしれませんけど、若い社員に頂点の仕事の厳しさ、頂点の仕事のあり方にチャレンジさせたいと思います。そのために2年ぐらい前からハンドメードのラインを弘前工場に設け、一級の技能士を取得した者を中心に30代のメンバーで編成し、メンズだけでなく、レディスにも挑戦している。このラインは総毛芯や手の部分を増やしたものに挑み、今はOEMの他流試合を含め、苦戦しながらも頂点の仕事に取り組んでいます。20数万着も作る中のほんの3ケタか四ケタやっているぐらいですが、そこで得る知識や技術、技能はかけがえのないものになることは間違いありません。
いいものに接していいものを見続け、いいモノ作りをやっていけば、自ずと商品に対するプライド、商品に対する責任感が変わると期待しているんです。我々はもっと上を作るんだという気持ちになった時にもっといろいろなレベルが上がる。それが日本のモノ作りです。東京という世界第二のマーケットを持っている日本でできるモノ作りというのはまだまだあるし、そういうモノ作りの力を養っておかなければいけない。
日本に500人規模の工場を残している会社は少なくなっていますし、当社は中国でも日本でも生産をしている。中国に生産現場をシフトしてしまったというのと違い、日本と中国のモノ作りをバランスをとりながら進めている。これまで日本でJUKIさんとお付き合いし、いろいろと教えてもらいましたが、あえて言えば海外でもモノ作りを提案して欲しい。そのために縫製研究所のノウハウも生かし、世界のJUKIがコーディネートしたモデル工場を中国でもいいし、どこか海外に作って頂きたいと思っています。これからのアパレルの海外生産はハードだけでなく、ソフトが重要になってくるからです。
CS対応力を計数把握
CSの基本はお客様を徹底的に知ることです。その上でお客様の望む製品、サービス、情報を的確に把握し、それをJUKIがどれだけ提供できるかに尽きます。
JUKIは工業用ミシンでトップブランドの地位を保っていますが、これはJUKIミシンの「商品力」である機能・性能だけでなく、サービス体制、情報提供活動などの「CS対応力」も評価されているからだと思います。
営業企画部ではアパレルやミシンの業界情報を幅広く捉えるマーケティング活動を行っています。また、従来イメージで捉えていた商品力やCS対応力を計数的に把握しようとしています。これは地域や生産アイテムなどによってお客様のニーズも異なってくるため、それに対応する商品力やCS対応力も多面的に定点評価を実施しています。
JIAMやIMBでJUKIブースに来場されたお客様にアンケート調査をさせて頂きましたが、私たちミシンメーカーに対して重要視されていることは商品開発力のみならず、サービス対応の良さや幅広い情報提供となっています。またホームページが予想以上に情報源として利用されていることなども解りました。
私が入社した25年前にもJUKIの本縫いミシンはトップブランドであり、現在も変わらない評価を受けています。これは商品やサービスの絶え間ないレベルアップがあってこそ維持できるものと思います。
JUKIは工業用ミシンを世界に輸出していますが、ベースは日本です。日本はアメリカに次ぐアパレルの消費国ですが、品質に対して非常に厳しい消費者の国として知られています。
高い品質レベルを求められる日本のアパレル生産において、JUKIはこれまで様々な課題にお客様と共に取り組んでまいりました。その結果が製品やサービス、情報提供活動のレベルアップにつながっています。
センチュリーさんは日本独自ともいえるE.O、P.O生産で高品質の商品をQRで提供されています。QRは日本国内ではさらに進化してきていますが、JUKIも品質、サービス、QRをCSの一環として常にレベルアップしていきたいと思います。