生産現場に『JUKI』を探る Vol.7
アパレル生産現場第6回
株式会社ミヤモリ

株式会社ミヤモリ 代表取締役社長 宮森利隆氏

アパレルの海外生産シフト、受注量の減少、繁閑差の拡大など、国内工場を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。こうした中、富山県小矢部市にあるミヤモリ(宮森利隆社長)は、スポーツウエア生産100%体制から脱皮、新たな柱として水着やカジュアルウエア、レディスウエアを加えるとともに、パターンや二次加工などの機能を強化してきた。アイテムや取引先の広がりに対応するため、生産現場ではJUKIのダイレクトドライブ高速電子本縫い千鳥縫いミシンをはじめとした設備導入も進めている。国内の縫製企業としてはいち早く「品質ISO」を取得するなど、管理レベルでは定評がある同社は、ハード、ソフトの「総合力」に国内工場の生き残りの方向を見いだそうとしている。

150人を擁する富山県内では大手工場のミヤモリ

「総合力」で大型工場の強み
設計から加工、量産まで一貫

ミヤモリは1966(昭和41)年8月の創業で、人員は150人。グループ工場として92年に鹿児島県吉田町に設けたアクトリー(60人)がある。
創業以来、同じ小矢部市に生産拠点を置いてきたゴールドウインの主力協力工場としてスポーツウエアを生産、県内でも大手工場になった。しかし、スポーツウエアの生産が海外シフトを進め始めた約十年前から、培ってきた技術・生産力を生かし、新規取引先や生産アイテムの拡大に乗り出した。
現在、スポーツウエアは受注量の約五割になったものの、今でもゴールドウインが100%で、スクール用トレーニングウエア、「エレッセ」のテニスウエア、「チャンピオン」のゲームウエアなどを手掛けている。その一方、水着、カットソーのカジュアルウエア、レディスウエアが新たな柱に育ってきた。中でも、この数年、積極的に取り組んでいるのが水着だ。その理由を宮森社長はこう説明する。
「水着は国内に残るという単純な発想ではなく、最大のポイントは素材。特に競泳用では加工を含めて特殊な素材が使われる。現時点では素材開発は海外では出来ないものが多く、海外縫製にしても日本国内から生地を持ち込むパターンになってしまう。そうなると大量に作ってコストダウンする部分は海外生産になっても、クイックな商品やチームオーダーは国内生産のメリットが大きい」
遊泳用はシーズン商品で生産時期も短いが、競泳用のほか、健康志向の高まりでプールに行く人が着用するフィットネス水着はシーズン性がなく、多少の繁閑があっても年間生産になっている。加えて水着の生産には特殊ミシンが必要で、どこの工場でも簡単に手を出せないため、同社の持ち味が発揮出来るという狙いである。すでに縫製現場では五ラインのうち水着が三ラインを占め、受注量の四割までに高まっているそうだ。
同社の取引先は今、約30社にのぼる。新規の取引先、アイテムを開拓してきたためで、そのために宮森社長が取り組んできたのが「総合力」である。「小規模であれば品質で他に負けないといった特化した工場で生き残れると思うが、150人もの規模になると間接人員が必要で付帯経費もかかる。それで縫製だけとなると、まともに中国と勝負になるので、この十年間、いろいろな機能を付けてきた」。
その一つが設計・試作機能の強化である。新規先として拡大してきたカットソーや水着の取引先はほとんどが、提供してくれるのはデザイン画とサイズ、簡単な仕様程度。このため五人のパターンメーカーを含めた営業企画グループを社内に設け、プロトパターン、サンプルの作成から量産まで一貫で対応出来る体制を作り上げた。
また、二次加工ももともと備えていた刺しゅうに加え、転写プリントの設備を社内に取り入れたほか、プリントにも応えるため外部にタイアップ工場を作った。
同社は一昨年秋にホームページをリニューアルhttp://www.miyamori-co.com/)、現在、月間のヒット数は8000から10000件に達する。このホームページには「オリジナルブランド・プライベートブランドの製作」のページを設けており、若手のデザイナーや小売店などがインターネットを通して生産を依頼してくるケースが増え始めている。この対応にもパターンから二次加工、量産までの機能が生きているという。

フラットシーマーも各ライン専用に導入

水着ラインではダイレクトドライブ高速1本針千鳥縫いミシンLZ-2290Aが活躍

強化を進めてきた設計・試作機能

素材対応のミシンを重視

縫製現場では生産アイテムの広がりに伴い必要なミシンを設備してきた。「水着のように国内で開発した素材は国内縫製というケースは少なくない。逆に見ると、国内は定番素材はなく、毎シーズン変わるし、新しくて難しい素材になり、現場の一番の悩みが素材対応。素材が起因になって品質、生産性が阻害されることが多い」と宮森社長は指摘する。
こうした素材対応が最も重視される縫製現場ではダイレクトドライブ高速一本針千鳥縫いミシンLZ-2290Aをはじめ、多数のJUKI製品が活躍している。千鳥縫いは水着に欠かせない工程で、ゴム入れなどのほか、縫い目をデザインとして活用する。また、最近は柔らかな縫い目を求められているためフラットシーマ上下飾り付けミシン36200シリーズも各ラインに導入している。宮森社長はJUKIについて、工業用ミシンのトップメーカーとしてラインアップが豊富であることを挙げるとともに、「(ハードだけでなく)いろいろな対応力が良い」とJUKIが力を入れる顧客満足度(CS)の姿勢を評価する。現場でJUKI販売と代理店の担当者がオペレーターと熱心に打ち合わせる様子にそんな一端がうかがえた。
同社は九八年十二月に国際規格の品質マネジメントシステム「ISO9001」の認証を取得する一方、受注から付属の手配、納品、請求書発行までをコンピュータ化するなど、高い管理レベルを構築。ソフト、ハードで総合力を発揮できる体制を整えてきた。宮森社長は「この十年間に取り組んできた機能強化の方向は間違いなかった」と語る。その上で「これからは高齢化などまだ一山も二山も厳しい環境が続くが、知恵を絞りながらやっていきたい」と国内工場として生き残っていくためにあらためて気を引き締める

JUKIからのお知らせ

ダイレクトドライブミシンに多くの利点

JUKIの製品をお使いいただくのはオペレーターさんです。オペレーターさんは仕上がりの品質を確認しながら、能率を考えて一日ミシンと共に作業されています。そんなオペレーターさんの気持ちになって考えた場合、「高い縫品質と生産性を向上させるミシン」だけでなく、「疲れないミシン」にするのも我々メーカーの役割と考えています。
疲れないミシンの技術の一つに、JUKIはミシンのモーターを頭部に内蔵するダイレクトドライブ化があります。それは、低振動で静かであることと、縫始め、縫終りもオペレーターさんの思いのままに操作することが出来るからです。
また、ダイレクトドライブの効果は消費電力の節約、省エネ化にもつながる技術です。
JUKIは、仕上がり品質の向上、生産性の向上、省エネ、そして「疲れない」ダイレクトドライブミシンを業界トップの品揃えで市場展開しております。
伸び縮みする素材の高い機能を求める水着やスポーツウエアーを生産されている、今回訪問した(株)ミヤモリ様では、ダイレクトドライブ高速1本針千鳥縫ミシンLZ-2290Aをお使いです。そこでは伸びと戻りにきちんと追従した縫い目が求められ、製品の付加価値アップ、製品品質のポイントとなる工程にご活用いただいています。
そして、多品種少量生産の仕様の変化、素材の変化にも対応した縫い形状がパネル操作で簡単に選択できるLZ-2290Aは、工場の強い力になっております。
このように、ダイレクトドライブミシンは多くの利点を持っており、今後も、縫製の生産性、品質の向上だけでなく、地球環境、労働環境を考える上で重要なポイントとJUKIは考えております。
私たちは常にお客様の為の製品、お客様の為のサービスを考え活動しております。JUKIにお気軽にご相談ください。

【コメント】営業本部営業推進部販売支援課

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