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ソフトウェアを組み合わせて、「モノ=製品」だけでは提供できない「コト=価値」を提供

モノではなく、コトを提供する企業へ。

現在JUKIが進めているのが、この「モノ売りからコト売りへの転換」です。
一見わかりづらいこの考えを、ハンガーシステムという製品を通じて紹介していきます。

ハンガーシステムは、一言でいえば「縫製工場でものを運ぶシステム」です。縫製工場の製造ラインの上に設置され、縫製作業をするオペレーターさんのもとへ服の材料や部品をハンガーシステムで運び、作業が終わったものを次の工程へ運びます。

JUKIのハンガーシステムの運営に長年携わってきた、Y.Uに話を聞きました。

INTERVIEW

Y.U
IoTプラットフォーム機器&システム事業
IoTプラットフォーム機器&システムユニット事業企画部 部長

1989年、中途入社。前職で官公庁向け大型プラントの開発に携わったのち、JUKIへ転職、JUKIオリジナルのハンガーシステム「JUKI System」の設計を手がけた。現在、自部署のメンバー8名と「JaNets Hanger System」の運営を担当。各拠点にいるプラントエンジニアやITエンジニアたちと協力しながら、世界各地で導入を進めている。

縫製工場で縫うものを運ぶシステム。効率化と省力化が主な機能

「ハンガーシステムは、基本的には、作業の効率化や省人化を目的としたシステムです。(Y.U)」

ハンガーシステムがない時代、縫製工場には、ミシンの横にバケツのような箱が置かれていました。
「作業が終わったものを、オペレーターさんが箱へ放り込む。そして、その箱を、人が少ない工場であればオペレーターさんが自分で、人数の多い工場では運搬専門の人が、次の工程のオペレーターさんに渡していました。(Y.U)」
ハンガーシステムの誕生により、オペレーターさんは縫う作業に集中できるようになり、より効率的な製造が可能になりました。

「開発当初は、ポケットや襟などのパーツをつくる工程や、ジャケットの身頃などを製造する『組み立て』の工程でしか、動かすことができませんでした。(Y.U)」

それから数十年が経ち、裁断、部品製造、組み立て、検査、出荷まで、すべての工程で使えるようになりました。

「しかし、JUKIのハンガーシステムがいちばん進化した点は、工場を管理する設備稼働管理システム『JaNets』と連携できるようになったことです。(Y.U)」

身頃:衣服のそで、えりなどを除いた、体の前面・背面を覆う部分を指す。

Y.U

オペレーターさん泣かせの製品から、
オペレーターさんに喜ばれるシステムへ

JaNetsは、生産現場の進捗や設備の稼働状態、エラーなどをデータによって見える化。
お客様は、工場単体ではもちろん、国境を越えて展開するような複数の生産拠点の製造量や出来高を管理できるようになります。

そのJaNetsとハンガーシステムを連携させることで、JaNetsがデータや数字で現場を管理しつつ、ハンガーシステムがそのデータをもとに縫製に必要な材料、部品を運搬。適正な作業配分や生産性の向上などを実現します。

「例えば、ある人はすごく速いけれど、別の人はそれほどでもないなど、オペレーターさんの作業スピードはまちまちです。それなのに、どの人にも同じように材料や部品を運んだら、遅い人のところには溜まってしまい、速い人はその人の応援で休む暇もなくなってしまいます。(Y.U)」
実際、JaNetsと連携させる前はそういうこともあったといいます。
「オペレーター泣かせと、昔はよくお客様に怒られました。(Y.U)」

今では、遅い人には縫製物の送りをセーブすることも可能。
工場全体の作業の進捗をみて、仕掛りが溜まってくれば早い人のもとへ率先して部品を送ることもできます。
また、例えば、ズボンと上着などつくるものが混在している工場などでは、ズボンと上着の部品をミックスして流すこともできます。

「さらに、運搬用の人員が不要となるため、専門職であるオペレーターさんだけを揃えた、生産性の高い工場をつくることができます。(Y.U)」
オペレーターさんにとっても、作業に専念できる環境が実現、スキルアップやキャリアアップのチャンスにつながります。

「だから、今はお客様に怒られることはなくなりました(笑)。オペレーターさんにもすごく喜ばれていますよ。(Y.U)」

他社にはマネできないシステムだから、たくさんの企業が導入

そもそも、ソフトウェアとハンガーシステムなどの縫製システムを融合できる企業は、JUKIの他に例がありませんと、Y.U。
「ソフトウェアをつくっている企業は、ハンガーシステムは持っていなかったり、その逆だったり。(Y.U)」
実際、ハンガーシステム単体のメーカーは多数存在します。JUKI製品より安いものも市場に出回っています。
「それに、ハンガーシステム自体は数十年前からある製品です。進化、改善の余地はあまりなく、単体での性能差は似たり寄ったりです。(Y.U)」

だからこそ、ソフトウェアと連携することで、大きな付加価値が生まれます。

例えば、モーターの回転などをミシン内のソフトウェアで制御して個体差をなくし、縫いを安定させることは他社のミシンでも可能。しかし、JaNetsのような管理システムで、ミシン単体だけでなく、ハンガーシステムなどの搬送システムや他の設備も併せて、工場全体の出来高を管理できるものはありません。

ミシンの状態はもちろん、製造の流れや出来高までを管理、まさにトータルで工場を管理できることが高い評価を得ています。
「お陰様で、現在、多くのお客様に導入いただいています。(Y.U)」

やりたいのは、モノ売りからコト売りへの転換

ハンガーシステムで実現しようとしているのは、「モノ売りからコト売りへの転換」だと、Y.Uは言います。
「ハンガーシステム単体=モノだけでは、お客様に提供できることは限られます。JaNetsと連携させることで、作業の効率化、省人化などハンガーシステム本来の機能だけでなく、適正な作業配分、オペレーターさんのスキル平準化、生産拠点の出来高のトータル管理など、製品単体では提供できなかった有形無形の価値=コトを提供できるようになりました。(Y.U)」

JUKIは、これまでたくさんの製品を開発、販売しています。
ミシンはもちろん、検針機、アイロンボイラーなど、縫製に関わるあらゆる製品=モノを扱ってきました。

「これは、縫製工場で必要なものを全部提供できるというだけにとどまりません。(Y.U)」
豊富な製品群をJaNetsという大きな幹と連携させれば、真の意味での縫製工場、被服生産のトータルソリューション=コトを提供できます。
「これは、他社では難しいでしょう。(Y.U)」

基本を大事にしつつ、新しい技術を吸収、進化していくのがJUKI

1989年の入社以来、JUKIでものづくりに携わってきたY.U。最後に、JUKIのものづくりの特徴について聞きました。

「技術力とか、ものづくりの基本というものはやっぱりあって、それはメーカーとして他社に負けてはいけない。その点、世界一の工業ミシンをつくっているJUKIは、基本的な技術はすごいです。私は、入社したときにとてもビックリした覚えがあります。低コストなのに、とんでもない精度のミシンをつくっているなって。(Y.U)」

工業用ミシンのマザー工場である大田原工場には、職人のようなベテラン技術者が多数在籍しています。スマートソリューションカンパニー(SSC)のような「縫製工場はどうあるべきか」を半世紀以上考えてきた組織も、専門の解析チームもあります。実験施設なども充実。
「そういう、ものづくりの底力がJUKIにはあります。(Y.U)」

そのうえで、時代に求められるものは何かを考え、新しい技術なども積極的に取り入れる社風をJUKIは持っている。そうY.Uは言います。
「ものづくりの基本を大事にして、それを生かしつつ、新しい技術をどんどん吸収していくのがJUKIなんでしょうね。(Y.U)」

ミシンは、誕生した150年ほど前から使われる技術は基本的に変わっていません。そんなミシンを主力商品のひとつとしているからこそ、JUKIは世の中や今の時代に求められるものは何かを考え、それに応えようと新しい技術を積極的に取り入れ、製品、技術を進化させます。
「お客様が、まさにそういう姿勢なんです。縫製の作業そのものは基本的に大きく変わらないし、出来高や生産性を上げるのはお客様にとって永遠の課題。そもそも、衣食住という人の根本に関わることも不変です。その中で、世の中の動きに合わせて、常にお客様は変化、進化し続けています。(Y.U)」

お客様の「こういうものがほしい」「こうできないか」を実現するのがJUKIの宿命。だからこそ、お客様を支えるJUKIも、変化、進化していかなければなりません。
「モノ売りからコト売りへの転換もそのためです。限られた機能しか提供できないモノ売りでは、お客様の実現したいことが変わったときに対応しきれませんから。(Y.U)」

ハンガーシステムも、Y.Uが開発してから数十年、進化し続けてきました。
「今後10年ぐらいの間に、AIを活用することになるかもしれません。生産管理をしながら、自動的にものを手配するとかね。そういう未来を考えると、すごくワクワクします。(Y.U)」

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