お名前: 田平さん
お住まい: 北海道函館市
ミシン歴: 約40年
高校卒業後、昼間は事務職として働きながら、夜間は洋裁学校に通っていました。手に職を付けたかったので、函館に戻ってからは、昼間の洋裁学校に1年間通いました。
当時はオーダー服の洋裁店が多く、私は縫い子として2年ほど働きました。しかし、アパートを借りて一人で食べていくにはとても厳しく、挫折してしまいました。
洋裁は根っから好きなんですけど、不器用なものですから…。
そのあと、すぐに結婚したので、子供の服を中心に作っていました。
女の子が一人いたので、スカートやワンピースなど作っていましたね。
その後は「裾の丈のお直し」など、身内や近所の人から頼まれては、よく引き受けていました。
糸の太さに合わせて、ボビンケースを使い分けています。
20番や30番の厚地を縫う時と60番の普通地用を縫う時とボビンケースを2つ持っています。
今まで16番の針までしか使ったことがなかったのですが、このミシンを買って初めて18番の針を使いました。
以前は革を縫った時に縫い目が飛んで全然縫えませんでした。
しかし、このミシンは革も縫え、購入をきっかけにもっともっと革の素材にも挑戦してみたくなりました。
板のような厚みのある革でも縫えたので、本当ビックリしました。
ロックミシンMO-1000Mもすごく気に入っています。
今、作っているパジャマの生地がすごくほつれやすいのですが、とても綺麗に始末してくれます。
3年前からまた洋裁教室に通い始めました。一から製図を引いて自分の思い通りの服を作りたいと思ったからです。
高校を卒業した後に通っていた洋裁学校では製図を習い、課題もこなして、一通り基礎は学びましたが、いざ一から作るとなるとひとりではできず、製図をマネすることしかできませんでした。
洋裁教室では、自分がイメージしたデザインの製図を引いています。
なかなか思い通りにはいかず、まだまだ勉強中です。洋裁は、奥が深いですね。
二十代の時に勉強したことを復習しつつ、また新たに勉強し直しています。
今まで自分で作った服を着たことがなかったので、作ったものを着てみて、その服が着やすいかどうかの研究をしています。
自分で試着してみて、それではじめて他人の洋服も作れるんじゃないかなって思っています。
このブラウスはお姑さんのために作りました。
お姑さんは指に力が入らなくなってしまったので、ボタンの開け閉めの代わりに、少し手を加えてマジックテープにしてあげて、
「ポケットが2つ欲しい」と言うので、両サイドにはポケットをつけました。
袖にもこだわりがあって、カフスは嫌がるので、手元をゴムにし、
「※1ラグランスリーブがいい」と言うので、切り替えを入れて腕を動かしやすくしてあげました。
※1ラグランスリーブ・・・襟ぐりから袖下に切り替えが入り,肩から続いた袖。
95歳のおばあちゃんなので、背中も曲がっています。
※2タックを入れて、丈も長めにしてゆとりをもたせたデザインにしました。
まさにお姑さんの要望に応えた服ですね。
お店で販売している服は、流行の物だけを売っているので、お姑さんの要望がすべて揃った完璧な服は、どこのお店を探しても見つからないです。
「お年寄りの気に入った服がない!」と言われると、私の出番かなと思ってソーイングを楽しんでいます。
※2タック・・・身体に合わせるために,布地をつまんで折ったもの。
本を見てもしっくりくるものがないので、イメージしてスタイル画を描くと、具体的なデザイン画が見えてくるので、それから製図を引いて試行錯誤しています。
思い描いた形をイメージ通りにするのが、私の最終目標です!
この先もずっと洋裁をやろうと思っています。
お姑さんに作ってあげた服のように介護関係のおしゃれな服を作っていきたいですね。
例えば、病院に行ったときにズボンを脱がなくてもいいようにサイドにファスナーを付けて、容易に開け閉めできるズボンがあれば“楽ちんでいいな”と思います。
簡単にファスナーを引き上げるだけで、膝の診察や治療ができるって、
いいですよね!
腕が上がらない人は、後ろにファスナーのある服を着るのがとても大変だと聞くので、ちょっと手を加えて、簡単に着られるようなデザインにして、お手伝いをしてあげたいと思います。
今まで着ていたお気に入りの洋服を着せてあげたいので、そのようなデザインの要望や体の状態に合わせて、洋服のリメイクをしていこうと思います。
近くにモデルがいるので、まずはお姑さんの服から…。(笑)
このミシンを買ったことで、この先の自分の道がはっきりと決まりました。どんどん道が開けていくような気がします。おかげで私の決意が固くなりました。
完成したときの達成感は、なによりも嬉しいですしね。
以前使用していた職業用ミシンは、20番の糸が全然縫えなかったんです。
ジーパンの裾上げを頼まれてもできずに困っていました。
このSL-700EXは、難なく縫えますね。
ハサミケースを縫う時にこの押えを使用しました。
すべりが良くて革でも押えが貼り付くことなくスムーズに縫えました。
最後にバチッと糸が切れるのはいいですね!
この音が大好きです。
ベルベットの生地を裁断し、仮縫いしたまま億劫で縫っていませんでした。この機能があるのでこれからは安心です。たくさん使っていきたいですね。
倒立するタイプのボビンケースは初めてでした。
つまみを開いて固定できるので出し入れもしやすく。
とても便利です。
この定規があれば、まっすぐ縫えていいですね。
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まずは楽しみを覚えないと、
「作ろう!」という気持ちにはならないでしょうね。
何でも手に入る時代ですから・・・袋物も安く売っていますよね。
簡単な袋物から挑戦してもらいたいです。
とにかく楽しんで達成感を味わってもらいたいと思います。
最近は、針すら持たない人もいますからね。
うちのお嫁さんも全然、針仕事はしていないのですが、
少しでもできるようになってもらいたいですね。
まずは身内から教えないと!(笑)
手縫いでもまずは針をもつことから始めて、手作りの楽しさを味わってもらいたいです。
取材:2018年9月