手作りワールド

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美濃羽まゆみ先生(FU-KOさん)

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肩書き: 洋裁作家、手づくり暮らし研究家
活動拠点: 京都府京都市(自宅)
活動内容概要:
ブログやSNS、講演会活動などを通じて、「ものを作る、幸せのかたちを作る」をテーマに、手づくりのあるほんのりていねいな暮らしを提案しています。
また、年1~2回の受注会で、シンプルで着心地のいい子ども服・大人服を一つ一つ手作りでお届けしています。

ブログ:http://fukohm.exblog.jp/
Facebook:FU-KO basics.(美濃羽 まゆみ)
Instagram:minowa_mayumi

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活動・著書など  詳細はこちらをご覧ください。

服作りを始めたのは母になってから。
育児で仕事を休んでいた20代後半、細身で標準的な服が合わなかった娘のために洋服を作るようになったのがきっかけです。

2008年からFU-KO Basics.を主宰し、「思い出に残る服」をテーマに年1~2回の受注会で、シンプルで着心地のいい子ども服・大人服を一つ一つ手作りでお届けし、かけがえのない親子時間をささやかに彩るお手伝いをしています。

2017年より「手づくり暮らし研究家」としての活動をスタート。
ブログやSNS、講演会活動などで、「ものを作る、幸せのかたちを作る」をテーマに、手づくりのあるほんのりていねいな暮らしを提案しています。

洋裁やライフスタイルに関する著書も多数。


【著書】
『作ってあげたい、女の子のお洋服』(2014年 日本ヴォーグ社) 現在8刷
『毎日着たい、手づくり服』(2015年 日本ヴォーグ社) 現在6刷
『FU-KOさん家の小さなくふう、ていねいな毎日の作り方』(2016年 日本ヴォーグ社) 現在2刷
『男の子にも女の子にも、作ってあげたい服』(2017年 日本ヴォーグ社) 現在5刷
『FU-KOさんのぶれない暮らし』(2017年 主婦の友社) 現在2刷
『きらり。』(共著/2017年 株式会社みのりの森)



【メディア出演】
・すてきにハンドメイド(NHK Eテレ)
・趣味どきっ!(NHK Eテレ)
・ニュースリアル(大阪テレビ)



【これまでの掲載誌】
・ソーイングポシェ(日本ヴォーグ社)
・Nina's(祥伝社)
・Como(主婦の友社)
・OTONA NATURAL(主婦の友社)
・tocotoco(第一プログレス)
・天然生活(地球丸)
・サンキュ!(ベネッセコーポレーション)
・&HOME(エフジー武蔵)
・すてきにハンドメイド(NHK出版)
・趣味どきっ!(NHK出版)
・家しごとがもっと楽しくなるノート術(KADOKAWA)
・大切なものを直して長く使う本(宝島社)
・わたしたちの無印良品ライフ(主婦の友社)
・TURNS(第一プログレス)

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先生の声

ていねいな暮らしの中で、
こちらがやりたいことに対して黙々と応えてくれる頼もしい相棒と一緒に、思い出に残る服作りをしています。

娘(一番うるさいお客さん)の誕生

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今10歳になる娘の誕生がきっかけで服作りを始めました。
それまではアクセサリーやカバンを趣味程度につくるだけでしたが、娘は細身で成長がゆっくりペースの子だったので、市販のもので体に合う服がなかなかなくて…当時は市販の型紙本も80・90サイズのものがあんまりなくて。
洋裁の本を参考にしたりもしたけど、ついてる型紙を見てもどこにどのパーツがあるのか分からなくて困りました(笑)。ただでさえ子育てで忙しいから時間も惜しくて。子どもの体に直接メジャーをあてて、新聞紙をあてて、型紙とったりもしましたね。

縫い方は、市販の服の裏をめくってどんな風になってるのかな、って勉強しました。たまに着なくなった服をほどいてみたり。表にはででこないけど、こういう作り方になっているんだ、と小さな発見をすることも楽しかったです。

型紙が見つかってもテイストに合わなかったり、フリフリのデザインだったり、飾りがついていたりして。そういうものよりシンプルなものが好きだったので、作りたいデザインがあったら、専門書を見ながら作っていました。
そうやってだんだん、自分で一から作ってみるようになってきたんです。

ものづくりはずっと好きだったので、欲しいものがあったら買ってくるより作ってみようかな、という性格で…失敗も多いんですけどね(笑)
でも失敗も面白くて自分が成長できるな、と思って。
服に限らず何だって、「ないなら作ろう」っていつも考えています。

それから、娘が市販の服をあまり欲しがらなくって、着心地にうるさいんです。
縫い目がちくちくするとか、この生地は嫌やとか、こういうデザインで作ってほしいとか…なので、結構娘にも鍛えられてます(笑)。一番うるさいお客さんなんですよ。

ていねいな暮らしの中で・・・

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著書執筆のかたわら、年に1~2回くらい個展での受注会を開催しています。
4年前に長男を出産した助産院がきっかけで知り合った、ギャラリーのオーナーさんがいらっしゃって。
オーナーさんが、たまたま私のブログをずっと見てくださっていて、子供の絵本の専門店(メリーゴーランド京都)をされていて、そこにギャラリーもあって。友人づたいに「ぜひうちで個展をしてみない?」と声をかけてもらったんですよね。そのころは産後でネット販売もお休みしていたので、いい機会かな、と思ってスタートしました。
5日間の会期で感じたのが、お客さまと直接お会いできる心地良さ。お客さんのお顔をみながら色々話をして、商品を実際に手に取って風合いとかサイズ感を確かめてから買っていただけるのが何より嬉しいですし、お客さまのほうもネットショップより安心感があると思うんです。偶然立ち寄って買ってくださる方もいらっしゃり、ご縁を感じますね。
今年で3回目の開催だったんですが、以前の個展で買ってくださった服とか、わたしの本から作ってくださった服を着て来てくださる方もいらっしゃって、感想をいただいたり。次の製作のパワーをいただいてます。
その他は雑誌の連載をもっていたり、コラムを書いています。あとは、ときどきテレビに出たりもしています。
コラムでは暮らしにまつわるあれこれや子育て、効率よい家事についてや保存食の手軽な作り方なんかを伝えています。

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数年前まではネットショップだけを家でやっていて、たくさんの人に知ってもえるのはよかったのですが、私自身なんかさびしいというか…。個展で「直接会えるのっていいな」と思えたのをきっかけに、今後はそんな機会がもっとほしいなと思っていて。
今は人前でお話できる機会があれば、積極的にお受けするようにしています。講演会とかお話会とか、今後そういうことをもっと増やしていきたいと思っていて。
生身でお会いするとお互いに発見がありますし、私のほうもどんなことを知りたいと思ってらっしゃるのかな、というのが分かりますし、励みになるんですよね。
お客さんは結構、意外なところに魅力を感じてくれているんです。それが、わたしが面白いって思ってることじゃなかったりするんですよね。たとえば、私がふとこぼした愚痴とか、人間にある弱さみたいなものを出したときのほうが共感してくださったり、勇気が出ますと言ってくださったり。そういうご意見を聞くと、今後も肩肘はらず、格好つけずに自分らしくやっていこうかなと思っています。

どうも、この本のイメージがあるのか、わたしにはなんでもソツなくできてていねいに暮らしてる、というイメージがあるみたいなんです(笑)。
けれど、実際はそうじゃなくて、かなりずぼらでいい加減で(笑)。
私もぜんぜん「ていねいな暮らし」を目指しているのではないんです。
それよりも、「やりたいこと」があったからこそ、「ていねい」を心がけるようになったんですよね。仕事もしたい、家事も、子育ても・・・と欲張りにやってきたから、ていねいにやらないと後で自分が困るんです。
たとえば、家でやっている仕事なので、暮らしのことがおろそかになっちゃうと仕事にも集中できない。かといって無理をすると体調をくずして家族にも迷惑がかかっちゃう。だから作家活動をスタートしたとき、まずは「暮らしありき」で生活を立て直したんです。
ついつい仕事が楽しくて寝る間を惜しんでやってしまいがちになるけど、子どもの生活スケジュールにあわせて時間帯を考えたりとか。家事についてはついとことんまでやってしまう性格だから、細分化して時間配分をし、ルーティーン化したり。食事作りでいえば偏食で小食な家族だから、素材の持ち味を生かした簡単なメニューを考えたり、常備しておけば満足感のある出汁や、一度の手間で一年中楽しめる保存食を活用したり。片付けの出来ない家族に辟易していたときもあったけれど、「人ではなく仕組みのほうを変えてみよう!」と収納を工夫したこともありますね。

よく読者の方から「ていねいにしたいけど美濃羽さんみたいには無理です」とか、「いづれ子育てが落ち着いたら、ていねいな暮らしをしたいです」とかコメントをいただくんですけど・・・。私はむしろ、やりたいことがあって忙しいからこそ、「ていねい」という手段を使ってきたんですよね。だから皆さんには忙しくても「ていねい」をあきらめないでほしいなって思います。
それに、今はなんでもお金で解決できるし、人任せにもできるけど、それをずっと続けていたらかえって手間がかかったり、後々困ることもあるんじゃないかって思うんです。それに、今目の前にあるはずの「幸せ」も実感しにくいんじゃないかな。だから、わたしのテーマは「ほんのりていねいに」。これからも、忙しくてもていねいに毎日を送れるちょっとしたアイデアや、昔ながらの暮らしの良さなんかを伝えていきたいと思っています。

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河原で拾ってきた石を重石にしてます。旅の思い出にもなりますし、靴下の補修するのに石ころを入れて縫うと縫いやすいんですよ。

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買う人・着る人と一緒に思い出をつくる服作り

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子ども服は「思い出に残る服」をテーマに作っています。子ども服ってすぐ着られなくなりますよね。
でも成長して着られなくなったとしても、親や子どもがまたその服を手にしたときに「ああ、この服着てあそこ行ったな」とか、「このスカートが嬉しくてくるくる回ってたな」なんてさりげない思い出がよみがえってきたり。そんなかけがえのない一枚になれればなあ、って思いながら一人で作ってます。
それから、服そのものももちろん大事なんだけど、それ以上に「このシルエットを出すために試作を重ねた」とか「この点が苦労した」とか、製作ストーリーもお伝えするようにしていて。「子どもがチクチクして嫌がったから、こういう縫い方になった」「沢山外遊びを楽しめるように頑丈に作った」とか、詳しくブログに載せています。というのも、私の服を買ってくださるのはたぶん、手づくりをしないか、したくても出来ない方がほとんど。だから、「この服が生まれた理由」を共有することで「手づくり服を子どもに着せること」の思い出を一緒に作ってけたらなあ、って思うんです。

それに、受け取る人も私の思いや着る人への思いやりを感じると、同じ服を買うのでも満足度が全然違うと思うんですよ。お店で売られている服も本当は手づくり服なはずなんだけど、どこで誰が作ったか分からない。ものすごく安い値段で売られてたりもするけれど、実はその裏で困っていたり苦しんでいる人がおるかも知れないな、というようなことにも想像力を働かせられるんじゃないかな、って。
手作りの服があることによって、そういう世界がみえるようになるし、限りある資源を使って作られたものだ、ってことも実感できる。すると、もっと一つの服を大事にしよう、使い切ろう、って思えるようになるんじゃないかな、って思うんです。
それに、そういう視点は買い物するときにも役立つと思います。ものを作るのって色んな工程があるんだな、工夫されてるんだな、ってことが分かったら、高価なものはそのぶんこだわりを持って作られてることが分かる。そういうものには気持ちよくお金が使えるようになると思うんですよね。

また、洋服は何年たっても修理をお受けしていて、お客さまから丈を直して欲しいとか、ワンピースをチュニックにしたいとか、ゴムを入れ替えてほしいとかも対応しています。
昔作った服が帰ってくると、こういう着方してはるんやなあとか、このパーツがほころびやすかったんや、と思って直したりしてると、自分の至らなかったところがわかって、それがまた次回の改善点につながったりしていて。
FU-KOというブランドは、子どもたちはもちろん、着てくださっているお客さんとともに日々一緒に作っている感じですね。

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大人服も4年ほど前から作るようになったんですが、そちらのテーマは「思い出を作る服」にしています。生地感とか着心地の良さを重視して、デザインはシンプルに。そのほうがいろんなテイストの人にも着てもらえるし、長く愛してもらえるかなって思って。
それに、服は作り手のところで「作って完成」ではなく、実際に着てもらって手持の服や小物でコーディネイトしてもらってはじめて完成するもの。着ている人を引き立てるような引き算のデザインをいつも心がけています。

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ほんまに良い道具やなっ!

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JUKIさんのミシン、いいですよ~。(笑)
どんな生地でも受け止めてくれますし、こんなデザイン作ってみたいなあ、と思ったときにこの相棒がいるから心強いんです。
職業用ミシンはシンプルですが、ミシンとしての力強さとパワーを兼ね備えていますね。
ほんまに良い道具やなって思います。

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家庭用ミシン HZL-EX7

HZL-EX7はとてもコンパクトなのに、かゆいところに手が届いて本格派な機能が沢山あって。
個人で洋裁を楽しまれる方にとっては、これ一台で充分満足できるミシンなんじゃないでしょうか。
特にボタンホールは、種類が豊富な上、メス幅が変えられて便利。
分厚いウールのコートなどは美しく正確に仕上がるので、「買ってよかったなあ」と満足しています。

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EX7をお迎えした理由
下の子が男なんですけど、4年ほど前から男の子の服も作り始めたんです。彼は上の子(女の子)とは全然体型が違って、頭がすごく大きくて肩幅もあって。もともと上の子の原型があったのですが、その型紙をアレンジしてみたんですが限界があったんですよね。かぶりのタイプだと頭が入らなかったりしたので、前開きのボタンのあるデザインやゆったりとしたシルエットのものを多く作るようになりました。
となると、今まで使ってたボタンホール用ミシン(家庭用ミシン)は、生地によってはどうしても美しく仕上がらず・・・納得がいかなくて、力不足を感じていたんです。それに加え、この前の個展でボタン付けするアイテムも沢山オーダーいただいたので、思い切ってお迎えしました!

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職業用ミシンSL-700EX

厚地、薄地、どんな生地でも縫える!
たまたま中古の職業用ミシンをオークションで見つけ、JUKIのシュプール98を購入したんですけど、やっぱり中古だったので一年もたたないうちにモーターがすぐにダメになって…。近くのミシン屋さんでSL-280EXを買ってからは7年ほど使っていました。
最近、SL-700EXをお迎えしました。
針も工業用針なので、耐久性が高くて、折れにくいというのを教えてもらって。
針が折れると釜を痛めてしまうことがあるらしく、致命的な故障につながりかねないということを聞いて、工業用針のものを選びました。

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ロックミシンMO-1000ML

縫い目は多機能機種に劣らないし、他社の機種より音は静か。サイズもコンパクトで、値段以上の仕事をしてくれる働き者です。
このミシンを使用してから掃除も格段に楽になりました。

基本はかがり縫いで使っていますが、見返しの始末するときに見返しの端を二つ折りにして差動送り調節で縫い縮めると、わざわざぐし縫いしなくてもアイロンかけたらカーブが綺麗にできます。
見返しの端始末は、するのとしないのとでは仕上がりが全然違います。リネンなどは接着芯を貼ってもほつれやすいし、縫い目がチクチクしたり、ひと手間かかるんですけど、そうしています。

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取材:2017年9月