行政WTO決裂 繊維FTAの効力失われず繊研,〔08・7・31(2)〕
新しい貿易自由化ルールを定める世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)非公式閣僚会議は29日決裂した。しかし、輸出指向でない日本国内の縫製産地にとっては、現状維持の確保が出来たため、「胸を撫で下ろしている」中小企業も少なくないとみられる。現行税率でも世界的に見て日本の繊維製品の関税率は低いが、半分以下に下がると、さらに輸入品が増える可能性がある。今回のWTO閣僚会議は決裂し、一時ストップしたものの、交渉は来年以降再開される見通しで、日本の繊維業界にとってはさらなる国際競争力強化と構造改善が求められる。
行政新事業、海外発信を支援―09年度繊維関連予算概算要求日繊,〔08・8・29(2)〕
経済産業省の09年度予算概算要求がまとまった。繊維関連では地域・中小企業に配慮するとともに、環境保全、省エネ省資源にも留意している。炭素繊維複合材料開発支援で、要求を今年度対比で大幅増額している。「東京発 日本ファッション・ウィ-ク」(JFW)支援要求は今年度予算と同額の6億円。
素材エコ素材、感触・色で新機軸日経産業,〔08・8・5(5)〕
繊維・衣料各社が天然素材の製品を相次ぎ投入している。環境商品としてのアピールに加え、これまでにない付加価値を競い合っている。竹や紙などの素材に注目する企業や、綿やウールなど従来の素材を使って新機軸を打ち出す企業がある。東レが開発した竹繊維「爽竹」を、今春ゴールドウィンは「バンブーカノコプリントTシャツ」などに採択した。竹繊維をポリエステルやアクリルなどの合成繊維に混ぜて織り込んだ。高い吸・放湿性と清涼感や肌触りが受けている。ニッケは、ウールのフッ素加工によるゴワゴワ感を柔軟剤入りフッ素溶剤を使用して、はっ水性とすべすべした手触りのスーツ用生地「アクアスムース」を発売した。
加工綿からバイオ燃料繊維ニュース,〔08・8・5(2)〕
大阪大学先端科学イノベーションセンターはこのほど、綿の主成分である多糖類(炭水化物)「セルロース」を酵素の力で単糖類「グルコース(ブドウ糖)」に糖化(分解)する基礎技術を確立した。この技術を応用することで、使用済み綿製品からバイオエタノールを作ることが可能になる。すでにこの技術を応用したベンチャー事業も始まった。綿のセルロース分子は、複雑に絡み合ったミクロフィブリル構造体を構成するため、従来は酵素による分解は難しいとされていた。これに対し、同センターでは独自の酵素と分解のための最適条件を見つけ出し、極めて高い糖化率での糖化に成功した。この技術を応用することで、使用済み綿製品などからグルコースを作り、様々な用途に活用できる。
アパレルシャツの下取り開始日繊,〔08・7・4(7)〕
コナカは9日からドレスシャツ・ブラウスの下取りキャンペーンをスタートさせる。店頭で回収した製品は福岡県宇佐市にあるフェルトメーカーの旭タカロンで自動車内装材に再生する。綿製品のリサイクルは珍しい。キャンペーン対象商品は、綿・ウールを含んだシャツ・ブラウスで金属片のついていないもの。ボタンはつけたまま回収する。コナカは10年前から旭タカロンと提携し、スーツ・礼服などのウール製品のリサイクル活動を行ってきた。今回、世界的な環境保護活動が高まっていることから、リサイクルの対象外で捨てられることの多かった綿製品に拡大することにした。
アパレル日本向けアパレルOEMにも影響繊研,〔08・7・15(1)〕
中国の金融引き締め策が、日本向けのアパレルOEM(相手ブランドによる生産)にも影響し始めた。加熱気味の不動産投資抑制を目的にした金融機関の貸出規制は「縫製工場などの運転資金のための融資も規制対象」(商社のOEM事業会社)となっており、資金繰りを圧迫される工場も出ている。輸出を手掛ける工場にすれば、人民元高ドル安、原材料コストの上昇などで資金需要は高まっているだけに、貸出規制による支障は決して少なくない。中には「増資で資金調達するため、出資を求められた」ケースもあり、規制による資金調達コストの上昇が、現地の生産活動や工場運営にも影響をしそうである。
流通通販の売上高9年連続最高日経(夕),〔08・8・21(1)〕
日本通信販売協会推計による07年度国内通信販売売上高は、前年比5%増の3兆9千億円で、9年連続で過去最高を更新した。インターネット経由の受注が好調で、消費者の安全・安心志向の高まりを背景に産地直送の食品などが伸びた。
流通お目当ては「買い物」 東京都の外国人旅行者行動特性調査繊研,〔08・8・25(7)〕
外国人旅行者が東京を訪れる目的の一番は買い物。特にアジア旅行者は約6割―。東京都がこのほど発表した「外国人旅行者行動特性調査」で、そんな結果が出た。同調査は、「観光客数等実態調査」の07年度版の中で初めて実施し、まとめたもの。購入場所では百貨店、商店街が目立ち、購入品目は上位から食料品、装飾品、和小物、工芸品、衣料品。情報入手先はガイドブックが一番だが、続いてインターネットが多かった。
その他カーボンオフセット事業繊研,〔08・7・16(1)〕
カーボンオフセットとは、日常の事業活動や生活で排出する二酸化炭素などの温室効果ガス(カーボン)を植林やクリーンエネルギー事業などを通じて吸収(オフセット)しようという考え方や活動のこと。ワーキングユニフォームのサンエスが環境対策を強化し、09年春夏物から丸紅と共同でカーボンオフセットユニフォームの販売に乗りだす。再生ポリエステルを使用したユニフォームの製造工程で排出する二酸化炭素の量に、丸紅が手掛ける温室効果ガスの排出権ビジネスを活用。ユニフォームを購入する企業、事業所が、独自に排出権を購入したり、温室効果ガスの削減に取り組むことをサンエスが代行する形。
その他人材育成へ講演会、セミナー参加者増繊研,〔08・7・23(4)〕
繊維・ファッション業界で繊維の基礎知識から商品情報、ファッショントレンドなど幅広い知識が必要と判断し、各種講演会、セミナーなどに社員を派遣する企業が増え、繊維製品品質管理士(TES)の資格を取得しようとする動きも強まっている。事業環境の厳しさが増す中、人材育成が生き残りの必須条件になってきたようだ。