行政
02年度「ものづくり白書」で競争力強化へ課題明示繊研,〔03・6・14(5)〕

政府は02年度の「ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告」(ものづくり白書)を公表。副題を「日本製造業の復権に向けた戦略的取組み」とした今年の白書は、日本の製造業が引き続いて経済の推進力となるためには、東アジアでの事業展開とともに、技術開発などによる国内立地製造業の競争力の維持強化が重要との基本認識を明確にしている。競争力強化のための取組みとして、高付加価値をもたらす技術・IT・デザインの戦略的開発・活用、開発した技術の保全管理、海外における新たな市場開拓の推進、「選択と集中」・企業改革の推進をあげている。

行政
繊維全体の競争力強化―経済産業省の提案公募型技術開発事業

経済産業省は、02年度補正および03年度の提案公募型技術開発事業について、繊維関係で5件(前年度2件)を採択。これは「川中の自立事業だけでなく、川上、川下も強化して繊維産業全体の競争力強化」を図るのが狙い。全体では2,399件の申請のうち342件が、繊維関係では13件の申請のうち、次の5件が採択された。
 ・連続生産を目指した電子線グラフト重合法による繊維機能強化技術の開発(福井県産業技術センター)
 ・斜め織り織物の開発と高性能・高機能繊維系製品の開発(新産業創造研究所)
 ・スチームジェットを用いたウール製品の新しい製造・加工方法(三菱レイヨン・エンジニアリング)
 ・環境に優しい羊毛繊維の連続防縮加工装置の開発(クラボウ)
 ・高性能で経済性のあるCLFE(炭素長繊維強化エンジニアリングプラスチック)成型材料のマスタ-ペレット化における開発(丸八)

素材
レーザーで繊維に刻印繊維ニュース ,〔03・6・18(1)〕/繊研,〔03・6・18(4)〕

シキボウは、クラリアンとなど3社で共同開発し、レーザー光線で文字や画像を描くことができるポリエステル繊維を開発した。この繊維は、スイスの機能化学品製造会社クラリアントが開発した繊維用のレーザー発色剤を配合しており、製品にレーザー光線をスポット照射すると、照射された部分が変色するため、精度が高い不滅のマーキングが可能になる。現在、1本の糸に字や絵をマーキングするためのレーザー照射装置や照射条件の検討を浜松工業技術センターと共同で行っている。可能になれば虫眼鏡や顕微鏡で見ないと判別できないような微小な隠しマークを入れることができるようになり、ブランド品の偽造防止にも利用できる。

流通
並木通りをギャラリーに、東京・銀座で産学共同イベント繊研,〔03・6・3(1)〕

「東京・銀座の西並木通りを丸ごとギャラリー」に見立てたファッションイベントが来年3月に産学協同で取り組まれる。女子美術大学や銀座西並木通り商店振興会などが主催する「コミュニティー・コミュニケーション銀座西並木通り-プレファブコート-」(仮称)である。この企画の狙いは21世紀のデザインの在り方を衣服から考察することにある。衣服と印刷(プリンター)を媒体にコミュニケーションを試みる。社会に対するデザイン商品の普及、商品化なども視野に入れている。

その他
IFI、FB起業ワークショップ開催繊研,〔03・5・27(5)〕

ファッション産業人材育成機構(IFI)は川中製造業で起業や新規事業を立ち上げようとしている人を対象に、FIT講座を参考に実験する。経済産業省が推進している繊維川中中小企業の自立支援「創業・起業促進型人材育成システム開発事業」の一環で、米国講師を招き、カリキュラムを構築する狙い。